病気の治療に使われる薬の作用で眠れなくなり、不眠になってしまうことがあります。眠れなくなる作用がある薬は降圧薬、抗がん剤、甲状腺ホルモン剤、抗ヒスタミン薬、抗鬱剤、インターフェロン、ステロイド剤、カフェインなどがあります。
降圧薬で眠れなくなる場合
降圧薬を使っていると眠れなくなったり、途中で目が覚めてしまったり、どうしても目が冴えて眠れないといった症状がでてくることがあります。その副作用は薬の種類によっても違ってくるようです。
薬の種類 | 不眠の症状 |
カルシウム拮抗薬 | 目が冴えてしまう |
α2受容体刺激薬 | 途中で目が覚める、悪夢をみる、昼間に眠くなる |
脂溶性β受容体遮断薬 | 眠れない、悪夢を見る |
水溶性β受容体遮断薬 | 脂溶性β受容体遮断薬よりも不眠症状はでにくい |
降圧薬の中でも一番症状が多彩なのがα受容体刺激薬で、よく眠れないばかりか悪夢を見やすくなります。
抗鬱剤で眠れなくなる場合
うつ症状を取り除くための薬ですが、副作用に不眠が現れることがあります。またこの薬には何とも言えない焦りを激しく感じる副作用があります。
薬の種類 | 不眠の症状 |
選択的セロトニン再取り込み阻害薬 | 眠れない、激しい焦燥感 |
ステロイド剤で眠れない場合
ステロイド剤は簡単に言うと大きな薬品の分類をひとくくりにしてステロイド剤と呼ばれています。ステロイド剤は体内のホルモンの作用に影響していくため、本来期待されている効果以外に作用してしまったホルモンの影響が副作用として現れてきます。その中に眠れないという不眠の副作用があります。
薬の種類 | 不眠の症状 |
ステロイド剤 | 眠れない、気分が悪い、不機嫌 |
抗パーキンソン病薬で眠れない場合
パーキンソン病に使われる治療薬にも不眠の症状が現れるものがあります。この治療薬は体内物質を左右させる効果があるものなので、体が疲れていても何日も眠っていなくても不眠の症状が現れることがあります。
薬の種類 | 不眠の症状 |
MAO-B阻害薬 | 眠れない |
抗コリン剤 | 妄想に悩まされて眠れない |
ドパミン製剤 | 眠れない、悪夢を見る、夜中に叫ぶ |
ドパミン放出促進薬 | 眠れない |
ドパミンアゴニスト | 眠れない、眠りすぎる |
インターフェロンで眠れなくなる場合
C型肝炎などの治療薬であるインターフェロンを使っていると、不眠の副作用がでることがあります。眠れなくなる症状は一般的な不眠症状である、寝入るのに時間がかかる、途中で目が覚める、明け方に目が覚めるなどです。インターフェロンはほかにも悩みがどっと押し寄せるような感覚になるなどの副作用があるようです。
薬の種類 | 不眠の症状 |
インターフェロン | 眠れない、気分が悪い、落ち込み |
抗ヒスタミン薬で眠れない場合
アレルギーに効果がある抗ヒスタミン薬は花粉の時期になると飲んでいる人も多くいます。普通は抗ヒスタミン薬を飲むことで眠くなるんですが、朝飲むと日中眠くなってしまうので昼寝をしてしまうと夜に眠れなくなる…ということがあるようです。夜に眠りたいから夕方に飲むだけにすると、肝心の昼間にアレルギー症状に悩まされるなど、抗ヒスタミン薬をきっかけに不眠になる人もいます。
薬の種類 | 不眠の症状 |
脂溶性H1受容体遮断薬 | 眠くなる、日中の眠気 |
H2受容体遮断薬 | 妄想で眠れなくなる |
気管支拡張剤で眠れない場合
喘息や慢性気管支炎、風邪が長引いたときなどに使われることがある気管支拡張剤も不眠症状がでることがあります。喘息や気管支が炎症を起こしているときは夜中に咳き込んだりして不眠の原因になりますが、その治療のための気管支拡張剤でも眠れなくなることがあります。
咳で目が覚める不眠か、薬のせいで眠れないか…という状況なので不眠を治すためには気管支の炎症を早く治すことが第一です。気管支に効果がある漢方薬もありますが、この漢方薬にも不眠作用があるエフェドリンが含まれているので西洋薬も漢方も不眠の副作用があると考えて良いと思います。
カフェインで眠れない場合
受験生や運転を職業をする人向けにカフェイン錠が市販されています。カフェインの目を覚めさせる効果はよく知られているので、錠剤のほかにもドリンク剤、カフェイン入り飲料などが売られています。カフェインドリンクであるエナジードリンクはカフェイン錠くらいのカフェインが入っているので、立て続けに飲んでいるとカフェインの効果がずっと効いている状態になります。また錠剤と違って薬品を飲んでいる感覚が少ないので飲みすぎることもあります。
カフェインの効果が半分になる半減期は大人で3時間ほどで、カフェインの効果は大体4時間から5時間続きます。夜10時くらいには自然に眠りたい場合は夕方以降は飲まないのが一番です。
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